CSR・SDGs取組み事例

お客様と1対1の関係性を築きたい。ブランドのあり方を追求した先にあったSDGs

公開日:2022.10.13

更新日:2024.03.27

ワークウェアといえば、上下おそろいの青や緑の服を思い浮かべる。だが、「これって作業服?」と思わせるファッション性に富んだワークウェアを次々と打ち出す企業がある。2008年にブランドをスタートさせたTS DESIGNだ。2021年には、未来に向けて取り組む持続可能な環境への取り組みとして「TSSN(TS SAVE NEXT)」を発表。その取り組みのひとつとして、59色から好みの色を選んで染色できる「COLOR LAB. CUSTOM」プロジェクトをスタートしている。「COLOR LAB. CUSTOM」とブランドとしての“TS DESIGN”のあり方について話を伺った。

話し手:株式会社 TS DESIGN ブランド戦略部 部長 瀬尾 雄作 さん

企業紹介

株式会社TS DESIGN

株式会社TS DESIGN

〈繊維の街〉として知られる広島県福山市に本社を置くワークウェアメーカーとしてブランド「TS DESIGN」を2008年にスタート。前身のブランド名である、「Top Shaleton(一番洒落ているを意味する)」のDNAを受け継ぎ、これまでのワークウェアがもつ既成概念を打ち破るような、機能的かつデザイン性に優れた新しいワークウェアを次々と発表している。

お好きなワークウェアを自由なカラーにカスタマイズ

——COLOR LAB. CUSTOM(カラーラボカスタム)とは?

 瀬尾雄作さんもともと〈色を選ぶ楽しさ〉をコンセプトにした「COLOR LAB.」という取り組みがあり、その新プロジェクトとして「COLOR LAB. CUSTOM」が生まれました。通常のワークウェアでは珍しい「後染め」の技術を使い、ベースとなるブルゾン・ジャケット、シャツ(半袖・長袖)から選んだ1着を、お好みのカラーに染め上げることができるというもの。カラーは全59色から選ぶことができ、後染めならではの柔らかく、深みのある風合いを楽しむことができます。59色のうちの34色を、美しい発色が特徴の「TS レギュラーダイ」、25色は廃棄植物などを再利用して染色する「TS アースダイ」と名付けました。この「TS アースダイ」はタマネギやオリーブ、ワイン、竹炭などが原料になっており、抗菌や吸水という機能がプラスされるのも特徴ですね。現在弊社のユニフォームにも「COLOR LAB. CUSTOM」を導入し、部署ごとにカラーを変えたジャケットを着用しています。

——COLOR LAB. CUSTOMを開発するきっかけはなんだったんでしょう。

 染色・生地のメーカーである小松マテーレさんが後染めを得意としていることを知り、「白いワークウェアを自分好みのカラーでカスタマイズできたら面白いかも」と考えたのがきっかけです。最初はアイテムもサイズ展開も少なかったのですが、システムとして構築していく段階で、色数、サイズ、アイテムがどんどんと増えて今の形になりました。

必要な時に必要な量だけ生産でき、生地・染料ロスを削減

——TS DESINGにおけるカラーラボカスタムの位置付けを教えてください。

 「COLOR LAB. CUSTOM」は、弊社が未来に向けて取り組む持続可能な環境への取り組みである「TSSN(TS SAVE NEXT)」のひとつでもあります。1着最低30着という小ロットで発注できるため、生地や染料のロスをなるべく削減でき、必要な時に必要な分だけ生産することができます。

 ワークウェアでは別注カラーのユニフォームを要望される場合がありますが、従来のスタイルだと一度にかなりの量を染める必要があります。必要数以上を作らざるを得ない上、特定のサイズばかりが残ることも。「COLOR LAB. CUSTOM」はお客様の求める量に応じて作ることができ、SDGs実現にも繋がっていると思います。

——「COLOR LAB. CUSTOM」はSDGsを意識した取り組みとしてスタートしたのですか?

 ワークウェア自体に流行がない上、日本のワークウェアメーカーでは「長期間着用できる質の高い商品作る」ということを昔から当たり前に行ってきました。そのためワークウェアには、もともとSDGsの素地があると思っています。「COLOR LAB. CUSTOM」も、ワークウェアがもつ土台に時代の流れをリンクさせたというイメージですね。

お客様と1対1の関係性を築きたい

——製品を完成させるまでの流れ・苦労話を教えてください。

 受注して製品としてお届けするまでの流れ、システムづくりに一番苦労しました。後染めがゆえにどれだけ縮むかを考える必要があり、染色時の絡まりを防ぐためのしつけ糸の位置から、ボタンなどの付属物の選定など、普段の商品以上に実験が必要になりました。様々な条件設定や品質を担保する方法を考えることが一番大変でした。また受注や出荷をスムーズにするための社内システムの構築も頭を悩ませたことのひとつですね。2020年に構想をはじめてからサービス開始まで1年以上かかりました。

——サービス実現の原動力のなった気持ちとは?

 1対1000、1対10000の商売をしようと思うと、手間がかかることは真っ先に省かれます。しかし僕らは1対1の関係性にもっていきたい。「人と違うものを着たい」「自分たちのオリジナリティをアピールしたい」そういう気持ちを手助けしたいと思っています。

——「COLOR LAB. CUSTOM」の反響を教えてください。

 昨年展示会で発表したばかりなので、現在はまだ周知を図っている段階ですね。豊富なカラー展開を利用して、企業カラーを使ったユニフォームをはじめ、イベントのスタッフジャンバー、ゴルフコンペでグリーンジャケットを作りたいという話も。数枚でのサンプル制作も承っています。

世界中のワーカーに革新と感動を届けるために

——TS DESIGNが目指すワークウェアとは?

 一般的なワークウェアのイメージは、「ブルーやグレーの上下」ではないでしょうか。2008年にTS DESIGNがスタートした頃は、私たちにもそういうイメージがあり、実際にメインで取り扱っていました。しかし今では、自分達が着たいと思えるものであること、ユーザーさんに「着ていて作業が楽になった」と感じてもらえる一着を目指し、表面化していない潜在的なニーズを汲み取り商品にすることを重視しています。

——ファッション性もTS DESIGNの魅力だと感じますが、そこにこだわりはありますか?

 もちろんファッション性もポイントのひとつです。社長をはじめ、社員は服好きが揃っていますので。現在ワークウェア業界も見た目を重視のスタイルにシフトしています。しかし「おしゃれ」というのは、そのシーンにフィットする装いであること、必要な機能をもつこと。それが本当の意味で「おしゃれ」と言うのではないかと思っています。ワークウェアは仕事の場で着用するものであり、職種によっても求められる機能や見た目は異なります。建築や工事のような作業着が必要な仕事もあれば、ディーラーのようなセットアップが必要な仕事もあります。お客様がどう使うか、どのような要素が必要か、どうしたら心地よく着られるか、それらを極めることで「おしゃれ」が表現できると思います。

——ブランドとして今後の展望を教えてください。

 弊社では、今期新たに企業理念やバリュー、プロミスを再構築し、ものづくりを下支えする意識を改革しようとしています。これまでのワークウェアがもつイメージを刷新し、最新技術による高い機能性や、快適な動作を生み出すデザイン性を知ってもらいたい。世界中のワーカーに革新と感動を届けるために、もっとワークウェアがもつ可能性を広げていきたいですね。

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